本間久志
1966年に静岡県で一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審公判に向けた検察側、弁護側、裁判所による第2回の三者協議が29日、静岡地裁であった。弁護団によると、地裁は袴田さんの出廷免除に理解を示したという。
刑事訴訟法は再審について、「回復の見込みがない心神喪失者」の場合は、本人が出廷しなくても審理できると定める。
姉・秀子さんが現状説明
弁護団によると、この日の協議では、姉の秀子さん(90)が、長期の拘禁生活で精神を病んだ袴田さんについて「会話は全然できていない」と説明した。地裁は「無理に出廷してもらうことは考えていない」とした上で「判断は公判の直前になる」と答えたという。
袴田さんの再審は3月に確定。検察側は4月の第1回協議で、有罪主張を維持するか否かの方針を決めるのに、7月10日まで3カ月必要との考えを示した。地裁はこの日、検察側と弁護側の双方に7月10日までに冒頭陳述の案を提出するよう求めた。弁護側は承諾した一方、検察側は「出せるか分からない」と答え、立証方針も示さなかったという。
袴田さんについて弁護団は第1回協議後に、「裁判への対応は不可能な状態」とする医師の診断書(4月25日付)も地裁に提出し、出廷免除を求めてきた。弁護団事務局長の小川秀世弁護士は「診断書は、回復の可能性はなく、(出廷の)強制は巌さんに不利益を与えるとしており、これらが大きく影響したと考えられる」と話した。(本間久志)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル